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函館近海産ブリの特色を生かす「函館ブリ塩ラーメン」 函館朝市でも提供へ

ブリの濃縮エキスや「ブリ節」を使った函館ブリ塩ラーメン

ブリの濃縮エキスや「ブリ節」を使った函館ブリ塩ラーメン

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 海の問題解決に向けたさまざまな取り組みを展開する一般社団法人「Blue Commons Japan(ブルーコモンズジャパン)」(函館市旭町)は6月25日、ブリの消費拡大や新たな食文化の定着を目指して開発した「函館ブリ塩ラーメン」のお披露目イベントを函館蔦屋書店(石川町)で開催した。

お披露目イベントではミニサイズを1杯100円で提供した

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 函館ブリ塩ラーメンは、豚骨をメインにだしを取る函館塩ラーメンの清湯(チンタン)スープをベースに、ブリを長時間煮出して抽出したブリの濃縮エキスを加えた「あっさりしているがコクのあるハイブリッドスープ」が特徴。函館を代表するご当地グルメに、近年函館近海で漁獲が急増しているブリを掛け合わせることで新たな食文化を定着させようと考案した。

 北海道産小麦100%で作った「のど越しが良くしっかりと歯応えがある特注麺」を使い、生のブリをしょうゆベースのたれに漬け込んでから炙(あぶ)った「ブリチャーシュー」などをトッピング。加熱したブリを乾燥させて作る「ブリ節」の粉末を仕上げにのせ、ブリの風味とコクを強調した。この日はミニサイズを来場者に1杯100円で提供した。

 地球温暖化の影響などで函館近海をはじめ北海道でのブリ漁獲量は近年急増しており、2021年には北海道が全国1位の産地になったほど。一方、北海道でブリがよく取れるようになってから10年弱しか経っていないこともあり、道民のブリ消費量は全国平均の2分の1程度と低迷している。日本財団「海と日本プロジェクト」の一環としてブリの活用に取り組んできた同法人は、新メニューとして2020年に「函館ブリたれカツ」、2021年に「函館ブリたれカツバーガー」を考案し、ブリの新たな食文化形成に努めてきた。

 新メニュー第3弾の函館ブリ塩ラーメンは、「脂がのっていない」という函館近海産ブリの短所を長所に転換できる活用法として考案。ブリ節の研究に取り組んできた北海道立総合研究機構食品加工研究センターの吉川修司さんは、この日のイベントで「脂がのっていない魚は、質の良い『節』になる。ブリ節のうまみはかつお節と同レベルで、後味の良さやコクの強さはブリ節のほうが優れている」と説明。「今取れている魚を上手に活用すれば、地元でおいしいものが食べられる」とブリ活用の意義を強調した。

 同法人はこれを皮切りに「函館ブリリアントアクション」と銘打ち、ブリの活用を通して「海を未来へ引き継ぐアクションの輪」を広げる活動を展開する方針。7月18日には、函館ブリ塩ラーメンや函館ブリたれカツバーガーなどを提供するブリのアンテナショップ「函館朝市地ブリショップ」を函館朝市えきに市場内に開設。ブリを通して海の環境について考えてもらう情報発信拠点としても活用する。家庭での消費促進に向けた函館ブリたれカツのレシピ動画制作や、市内学校給食での函館ブリたれカツ提供なども行う。10月には「函館ブリフェス2022」と題し、道南エリアの飲食店によるブリメニュー販売やスーパーでの函館ブリたれカツ販売、子どもたちが海を学べる体験イベントなどを実施する予定。

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