JR北海道・JR東日本・JR西日本の3社が2月4日、来月中旬より新幹線IC乗車サービス「新幹線eチケットサービス」を開始すると発表した。これによりJR東日本のインターネットでの指定券乗車券予約サービス「えきねっと」または西日本の同サービス「e5489」(以下、代表して「えきねっと」)で予約した新幹線チケットを、事前登録した「ICAS nimoca」「Kitaca」などのICカードで使うことが可能になる。
「新幹線 e チケットサービス」導入前後の函館-東京間、新幹線料金の比較
「えきねっと」で予約後、これまでは券売機や窓口で、乗車券や特急券を紙の切符で受け取る必要があった。新サービスでは、「えきねっと」に交通系ICカードや、交通系ICカードの機能を持ったモバイルSuicaサービスが利用可能なスマホ端末(以下、総称して交通系ICカード)の情報を事前登録することで、東北・北海道、上越、北陸、山形、秋田の各新幹線にチケットレスで乗車できる。切符が欲しい場合は発券方式の選択も可能。
新サービスでは、センターサーバーにおいて予約情報の管理から認証処理までを行う方式に変更になる。これまでの「モバイルSuica特急券」サービスでもチケットは不要だったが、特急券情報を端末側で受け取る必要があり、1端末には1予約ずつしか保持できなかった。今後は、端末側での特急券情報の受け取り操作は不要となる。
1予約で同一列車同一行程の6人までが同時予約可能。ICカード裏面の管理番号を利用するため、無記名のICカードも登録可能。
これに伴い「モバイルSuica特急券」のサービスが終了となる。一部有料だった「モバイルSuica」の年会費が全面無償化される。
北海道新幹線は2016年3月に開業し、2019年春のダイヤ改正で、一部列車で3時間58分の運行を実現し、乗客が飛行機と新幹線のどちらを選ぶかの閾値とされる「4時間の壁」を初めて越えた。
運賃面で比較すると、新函館北斗-東京間の通常期の新幹線運賃は、所定運賃の切符だと2万3,430円。現在の「モバイルSuica特急券」は乗車前日までの予約で「スーパーモバトク」なら1万5,980円。出発3日前ごろまでの早期割引が2万円前後の飛行機と比較した際に運賃面でのメリットがあった。乗車日が近い場合、これに匹敵する割引は新サービスでは用意がない。「えきねっと」の早期予約の割引「トクだ値」は、現在とほぼ同割引率で継続。14日前までの予約で1万7,850円、5日前までは2万2,490円。
早期割引を適用しない場合、「新幹線 e チケットサービス」での同区間の運賃は切符より200円割引の2万3,230円。ただし切符で適用される「特定都区市内制度適用」が非適用となることと、函館-新函館北斗間での加算額が切符と比べ110円高いため、東京駅から先の都区内が目的地の場合、函館-都区内間の総額は切符より割高となる。メリットは、出発4分前まで予約可能という時間的な面と、窓口に行かなくても新幹線に乗ることができるという手続き面での利便性ということになる。
首都圏との往来が多い市民からは「モバイルSuicaは前日でも割引額が多い点は重宝していた、新サービスでも同様の時期と価格を実現してほしい」「『えきねっと』は検索時に『割引率』しか表示されず先に進まないと『価格』が分からない。操作性が改善されれば」など、困惑の声も漏れる。
JR北海道の担当者は「駅窓口に立ち寄らず旅行が可能になり便利。ぜひ『えきねっと』の登録をしてほしい」と話す。今後はサービス導入を記念した「おトクな商品」の設定も予定。
「モバイルSuica特急券」のサービスは3月13日で終了し、「新幹線eチケットサービス」は翌14日開始。「えきねっと」システムへの交通系ICカード情報の登録と事前申込は2月7日5時30分から。