世界文化遺産登録の正式決定から一夜明けた7月28日、函館の「史跡垣ノ島(かきのしま)遺跡」(函館市臼尻町)の一般公開がスタートした。公開に先立ち、登録決定とオープンを祝うセレモニーが行われた。
函館市長と来賓がくす玉を割り、垣ノ島遺跡のオープンと世界遺産登録を祝った
垣ノ島遺跡は、紀元前7000年~紀元前1000年の約6000年にわたって定住したとされる縄文時代の集落跡。長さ190メートルにわたって「コ」の字型に土を盛り上げた国内最大級の盛り土遺構からは土器や石器などの道具、貝や魚・動物の骨などが大量に出土しており、祭祀(さいし)や儀礼の場だったと考えられている。
10時30分から行われたセレモニーでは、函館市の工藤寿樹市長が「晴れて記念すべき日を迎えられたことを皆さんと共に喜び、お祝いしたい」とあいさつ。「本日から公開する垣ノ島遺跡と近隣の大船遺跡、北海道唯一の国宝・中空土偶などを有効に活用し、縄文の魅力を広く世界に発信するとともに東北3県や道内の自治体と連携し、縄文を核とした広域観光・周遊観光につなげていきたい」と展望を語った。鈴木直道知事の代理として参列した小玉俊宏副知事も「世界文化遺産登録の決定は、コロナ禍にある道民にとっても明るい話題。縄文遺跡群を将来にわたって確実に引き継ぐとともに、地域のにぎわい創出につなげていくため、施策を戦略的に進めていく」との知事のメッセージを代読した。
セレモニー終了後、11時ごろから一般公開がスタート。オープンを心待ちにしていた市民らが遺跡内に入り、専属ガイドの案内で巨大な盛り土遺構や密集する竪穴建物跡などを興味深そうに見学していた。縄文文化のPR活動を行う団体「縄文DOHNANプロジェクト」の山田かおり代表は「世界遺産に登録されたことで、喜びよりも責任の重さを感じるようになった。ここからがスタートなので、遺跡の保存や縄文の魅力発信にどのように関わっていけるのか、改めて考えていきたい」と決意を新たにしていた。