120年にわたる函館駅の歴史を振り返る企画展「函館駅のいま・むかし・みらい展」が11月10日、はこだてみらい館(函館市若松町)で始まった。
1902(明治35)年に亀田駅(現在の函館駅)~本郷駅(現在の新函館北斗駅)が開業してから12月10日で120周年を迎えるのを記念し、JR北海道函館支社と同館のタイアップ企画として実施する。
展示のメインは、函館駅の歴史を紹介するパネル展示。現在の駅舎になるまでに4度建て替えられた函館駅について、JR北海道や市中央図書館が所蔵する写真や史料、さらに同館スタッフで鉄道郷土史の研究家でもある増井慎吾さんが収集した絵はがきなどを通して生き生きと描く。写真の見どころや年代による街の変化などに関する増井さんの解説コメントも添え、「読み物としても楽しめる」ように仕上げた。1週間ごとに展示を入れ替え、展示を終えたパネルは冊子の形にして会場で見られるようにする。
同展に向け、4代目駅舎の150分の1スケールのペーパークラフトも制作した。これまで、全国各地から依頼を受けてさまざまな駅舎や鉄道車両のペーパークラフトを制作してきた増井さんが、「自分が鉄道に目覚め、青函連絡船に乗るためによく利用していた1980(昭和55)年頃の函館駅を再現した」という大作。青い文字盤が印象的な大時計は、数字も切り抜きで仕上げるなどしてこだわった。厚さ5ミリの厚紙を同館のレーザーカッターで切り抜き、15日間で完成にこぎ着けた。「窓がサッシになり、壁が白く塗られる前の駅舎。木枠の窓やクリーム色の壁の駅舎を懐かしんでもらえたら」と話す。
このほか、実際に使われていた竜飛海底駅・吉岡海底駅の駅名標や津軽海峡線の列車が掲げていたサボ、函館と関係がある車両のNゲージ鉄道模型などを展示。Nゲージはトミーテックや全国の愛好家から同展のために借り受けたもので、寝台特急「北斗星」や「トランスイート四季島」などこれまでに青函トンネルを走行した新旧の列車、函館エリアで活躍する現役の車両などが並ぶ。
増井さんは「函館駅は初代から3代目まで火事で焼け、4代目は空襲に遭っている。120年の中で、ほかにもさまざまな歴史があった。何か一つでも自分の興味につながるものを発見してもらえたら」と来場を呼びかける。
開館時間は10時~20時。入館料は300円(未就学児は無料)。12月13日まで。