函館の食品メーカー「三海幸(さんかいこう)」(函館市日乃出町)が、試作品や限定品などを売る自動販売機(以下、自販機)を本社工場前に設置して1カ月がたった。
北海道産を中心に国産の原料だけを使い、天然の調味料で味付けした無添加のおつまみや菓子を製造している同社。2月には冷凍ケーキの製造販売を始め、スイーツ事業に参入した。
従来は土産物店などへの卸販売が中心だったことから、「この機会に当社の製品を地元の皆さんに気軽に購入してもらえる場所を作りたい」と自販機の導入を決めた。賞味期限などさまざまな条件からケーキ類の販売は難しいことが分かり、現在は5日~1週間ほど賞味期限があるスイーツを中心に販売している。
自販機だけで販売している限定商品も多く、なめらかで弾力のあるクリーム生地の上に北海道産原料を用いた生クリームをのせた「ババロア」(280円)もその一つ。バニラ・チョコ・イチゴ・抹茶の4種類を展開しており、リピーターが多いという。同社管理部の堤一也さんは「年配の方には懐かしさを、若い方には目新しさを感じてもらえているのでは」と話す。
新商品のアピールにも活用しており、現在は8月に発売した土産用菓子「雪しろ」を「お試し価格」として1個100円で販売中。北海道優良品種に認定されている「しゅまり小豆」を蜜漬けした「かのこ」をグラニュー糖と寒天で包み、「何日もかけてゆっくりと表面を乾燥させた」という菓子。仕上げに粉糖を振りかけ、「雪の宝石」を表現した。「しゃりしゃりとした食感があり、冬は季節感のある菓子、夏は涼を感じる菓子として一年中楽しめる」という。
通常価格は、3個入り1箱=540円、10個入り1箱=1,400円。函館空港旅客ターミナルビル(高松町)内の土産物店「THE HAKODATE DEPART(ザ・ハコダテデパート)」やキラリス函館内「えぞりす」(若松町)などで販売している。1個100円でのお試し販売は「函館を代表する土産に育てるため、まずは地元の皆さんにおいしさを知ってもらえたら」との思いで始めた。SNSでの発信を通して徐々に知名度が上がり、売れ行きも好調だという。12月末まで継続する。
「従来の卸販売とは違い、自販機なら小ロットの商品でも販売できる」と堤さん。「今後は自販機でおいしく提供できるスイーツを順次開発し、人気が出た商品を本格的に商品化する流れを作っていけたら」と展望を描く。