旅をしながらアートを楽しむ「はこだてトリエンナーレ」が3月11日、北海道立函館美術館(函館市五稜郭町)で始まる。展示テーマは「『ARTxTRAvel』北国を旅する芸術祭」。
約3年ごとに開催するアート展。2019年には「旅する芸術祭」として道南いさりび鉄道とタッグを組み、国土交通省の「日本鉄道賞」を受賞した。今回は15人の作家と若手公募で選出した10人の高校生、アールブリュットを手がける13人が制作した100点以上の作品が美術館を埋める。
道南ゆかりの美術家である安田祐子さんや隅田信城さん、北海道文化賞や北海道功労賞受賞の受賞者、阿部典英さん(小樽市在住)などのほか、ニューヨークで活動する板東綾子さん、アフリカ・ルワンダの伝統アートなど海外の作家も出展する。
今回から新たに函館バスが参加し、「元町・ベイエリア周遊号」のバス2台と五稜郭タワー前バス停に作品を飾る。バス車両内には高校生の館なぎささんと本谷涼風さんの作品、造形作家の松沢香代さん(東京)と人形使いの黒谷都(同)のユニット「Ku in Ka」の舞台を写真家の紀あささんが写した写真が並ぶ。バス停は函館在住のささきようすけさんの作品で彩る。
道南いさりび鉄道「ながまれ号」には、函館在住の写真家、大野希さんが「いさりび」を想起させる光を写した作品を展示する。
11日13時30分からは、Gスクエア(本町、シエスタハコダテ内)でワークセンターほくと(北斗市)によるアールブリュットの公開制作、18時30分から美術家やキュレーターらによるオープニングトークイベントを実施する。いずれも入場無料、予約不要。
21日には13時と15時から美術館内で「Ku in Ka」がライブパフォーマンスを予定。期間中の土曜・日曜15時からは、出展作家が展示作品について話す「ギャラリートーク」を開く。
道南いさりび鉄道の春井満広さんは「作品展を通じて地域の皆さんとつながれたらうれしい」と話し、函館バスの金澤裕美さんは「観光と作品を同時に楽しんでほしい」と期待を込める。メインキュレーターを務めた美術教諭の石川潤さんは、コロナ禍で準備した2年間を振り返りつつ、「新しい社会の中での人と人とをつなぐあり方を模索していける芸術祭になれれば」と話す。
開催時間は9時30分~17時。月曜休館。入場料は1,000円(大学生以下無料)で、会期中、再入場可。