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サッカーで欧州の頂点を目指す ―北斗市出身の田島翔選手、37歳の挑戦

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 北海道北斗市出身のサッカー選手が今年、世界で5番目に小さいミニ国家からUEFAチャンピオンズリーグ出場を目指す。田島翔選手、37歳。国内外のチームを渡り歩き、昨年は社会人リーグのFC函館ナチャーロに所属した。

 ところが6月に同チームの退団とヨーロッパへの挑戦を発表。そして同年12月、イタリア中北部の山岳地帯にあるサンマリノ共和国の強豪チーム「S.S.ペンナロッサ」への入団が決まった。

 37歳の今、なぜ再び海外に移籍したのか。そこで何を目指すのか。すでにチームと合流し、現地での練習を開始した田島選手に、移籍の経緯や今後の目標をリモートで聞いた。


北海道北斗市出身のサッカー選手、田島翔さん

 

―――まず、サッカーを志したきっかけを教えてください。

田島選手 自分が小学生の時にJリーグが設立され、テレビで三浦知良選手の活躍を見るようになったことがきっかけです。三浦選手に憧れて自分もJリーガーになりたいと思い、サッカーを始めました。

―――その夢をかなえるために大変な努力をしたと思いますが、いかがですか?

田島選手 みんなやっていることですが、朝早く起きて登校前に練習したり、夜はボールが見えなくなるまで練習したりと、ひたすら練習を積み重ねました。特に取り組んだのがリフティング。とにかく暇さえあればリフティングの練習に明け暮れ、高校を卒業するころには5000回は余裕でできるようになりました。

―――リフティング5000回は気が遠くなりそうな回数ですね。高校在学中はそれだけサッカーに取り組んだのに、卒業後は国内でプレーせずにシンガポールで選手生活を始めました。いきなり海外に渡ったのは、なぜだったのでしょうか。

田島選手 通っていた函館工業高校では輝かしい結果を残すことができず、実績を作るために海外に行こうと考えたからです。本当はサッカーの本場・ブラジルに行きたかったのですが資金面で難しかったためアジアに目を向け、サッカーが盛り上がりを見せていたシンガポールにサッカー留学しました。ただ、シンガポールではプロになることができず、帰国後の2004(平成16)年に入団したFC琉球でプロサッカー選手としてのキャリアをスタートすることになりました。

 

チームメートと練習に励む田島選手(右手前、1月撮影)

 

―――その後、国内ではロアッソ熊本、海外ではスペイン、ニュージーランド、アメリカ、韓国などさまざまな国を渡り歩いてプレーしていますね。

田島選手 アメリカではビザ問題、韓国では日韓関係の悪化によって移籍を余儀なくされることも経験しました。ただ、自分としてはサッカーを通じて世界のさまざまな文化に触れ、サッカー選手としてだけでなく、一人の人間としても成長したいと常に考えており、移籍が多いことをネガティブには捉えていません。

―――なるほど。世界を渡り歩いてきた田島選手だからこそ、見えてくるものがあるのかもしれませんね。そんな中、今期は日本人として初めてサンマリノのサッカーリーグでプレーします。移籍の理由を教えてください。

田島選手 サンマリノは国土の周囲をイタリアに囲まれたとても小さな国ですが、サッカーリーグがあり、そこで優勝するとヨーロッパの強豪チームが出場するチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの出場資格が与えられます。僕の目標は、ヨーロッパの主要大会に出場すること。そのためにサンマリノに来ました。今回所属した「S.S.ペンナロッサ」は昨年サンマリノ1部リーグで4位だったため、優勝は決して不可能な目標ではありません。

―――チームから田島さんへの期待は感じますか?

田島選手 移籍が決まってから、チームから入国やビザの状況、コンディションの確認などの連絡が頻繁にありました。これまで海外移籍は何度も経験してきましたが、これほど連絡を密に取ってくれるのは初めてです。合流する前からチームスタッフ間で僕の状況や情報を共有しているのが分かり、とても期待されていると感じます。

 


チームからの期待をひしひしと感じるという田島選手

 

―――12月上旬にサンマリノに到着したと聞きました。現地の印象を教えてください。

田島選手 とても温暖な気候で過ごしやすく、現地の人々も親切で優しく、安全な国だという印象を受けました。サンマリノ市は旧市街全体が世界遺産に指定されていて、街並みもきれいです。



サンマリノ共和国のシンボルといわれる城砦(じょうさい)

 

―――今月中にはシーズンが始まるそうですが、どのような決意で臨みますか?

田島選手 37歳という年齢でシーズン開幕を迎えます。年齢的な面を考えても、サンマリノではしっかり腰を据えて挑戦したいと思っています。目標はもちろんチャンピオンズリーグ出場です。ヨーロッパで唯一、伊勢神宮から分霊を受けたサンマリノ神社があるなど親日家も多いので、日本とサンマリノの交流も生み出していけたらと考えています。



サンマリノ旧市街地のリベルタ広場

 

―――田島選手はこれまで、オフには保育園での巡回サッカー教室や小学生向けのサッカースクールを開くなど、函館市や北斗市の子どもたちにサッカーを教える活動をしていらっしゃいます。田島選手がサンマリノで活躍する姿が一番のお手本になりそうですね。

田島選手 地元の子どもたちには特別な思いがあるので、僕の試合が観られるようにチームやサッカー協会へ働きかけていこうと思っています。僕が目標に向かって海外で挑戦する姿を何らかの形で見てもらえたら、そして何かを感じてもらえたらうれしいです。

―――本日はどうもありがとうございました。ご活躍をお祈りしています。

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