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函館「パッケージ展」 地元食品企業と地元デザイナーをマッチング

15人のデザイナーが制作した35点のパッケージ案を一堂に展示

15人のデザイナーが制作した35点のパッケージ案を一堂に展示

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 函館市内の食品関連企業4社の新商品などを題材に地元デザイナーがパッケージ案を提案する「函館パッケージ展2020」が2月12日、Gスクエア(函館市本町)で始まった。

女性に手に取ってもらいやすいデザインを追求した「ほっけ刺身」パッケージ

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 地元企業と函館で活動するデザイナーとの「出会いの場」をつくることで両者の協働を目指す市の事業で、昨年度に続いて2度目の開催。対象商品4点に対して15人のデザイナーから計35点の応募があり、各社が最優秀賞1点ずつを選定した。

 野菜の有機栽培に取り組むソーシャル・エージェンシー(富岡町)は、道内でも希少な「紫アスパラ」の発送用パッケージへの応募作品10点の中から、デザイン会社「アリエル」の瀬尾信雄さんが提案したシンプルな掛け紙タイプの案を最優秀賞として選出。既存のボール箱や発泡スチロールに掛けるだけでよく、コストを大幅に削減できることや、大地をイメージしたクラフト紙で有機栽培をアピールできることなどをメリットとして評価した。

 「ほっけ刺し身」のパッケージを依頼したトナミ食品工業(北斗市追分)は、ほっけの漢字に含まれる「花」をベースにデザインを作成した、合同容器の石田恵祐さんのパッケージ案を選定。1,000円程度の手頃な値段で珍しい刺し身が買える商品特性を生かし、若い女性でも店頭で手に取りやすくなるように仕上げたというシンプルなデザインが際立つ。このほか、エムティーコーポレーション(西桔梗町)の「函館塩辛ポテト」にはデザイン会社「ブルーム・エー」の岡田暁さんの作品、函館空港ビルデング(高松町)の「函館ジャーキー(仮)」には広告会社「リアルグロウ」の掛端秀行さんの作品が、それぞれ最優秀賞として選ばれた。

 市内のデザイン業界関係者によれば、これまでは企業が地元デザイナーの存在を知らず、東京や札幌のデザイナーに発注してしまうケースが大半。地元のデザイナーに仕事が回ってくる場合でも、印刷会社や制作会社などの下請けとして顧客の要望をただその通り制作するだけの仕事になる場合が多かったという。

 同展の運営に協力する函館デザイン協議会の会長も務める岡田さんは、函館の商品デザインの現状について、「黙っていても人が来てくれたし、素材も良いので何も工夫しなくても物が売れる時代が続いてきた。そのためデザイナーが育たず、残念ながら地域全体としてデザインのレベルが低いのが現実。東京で商品を売ろうとした函館の企業が『確かにおいしいが見た目が良くない』とバイヤーなどから指摘された例も少なくないと聞く」と打ち明ける。

 その一方、近年は地元のデザイナーが手掛けたパッケージ開発やブランドデザインが売り上げ増や販路拡大に結びついた実績が少しずつ地域で知られるようになり、デザインの重要性を認識する企業も増えつつある。岡田さんは「どんな商品にも競合他社の類似商品がある。その中からまず手に取ってもらうためには、商品自体の力と共に見た目の磨き上げが必要。普段互いに出会う機会のない、企業とデザイナーとを結びつけることがこの展示会の目的なので、応募作品の中から気に入ったデザインやデザイナーを見付けていただければ」と来場を呼び掛ける。

 開催時間は10時~21時(最終日は18時まで)。今月16日まで。

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