函館市が新型コロナウイルス対策として6月3日に始めた「おかずデリバリー実証実験」が好調だ。
福利厚生の一環として、会社が費用を負担しておかずセットを社員に支給した企業も
「おかずデリバリー実証実験」は、市内の飲食店が調理した「夕食のおかずセット(1,000円または3,000円)」を夕方までに職場に届けるサービス。注文には職場単位での事前登録が必要で、従業員から取りまとめた注文金額が1回あたり5,000円以上であれば配達してくれる。注文は配達希望日の前々日までに行う。
実施期間は2期に分け、前期=6月3日~26日、後期=7月8日~8月7日。おかずセットを調理する飲食店は60店を上限に公募しており、前期・後期でそれぞれ30店ずつに分ける。前期分の参加店と各店が作るおかずセットの一覧は「おいしい函館応援団」ウェブサイトで公開しているほか、同じ内容のチラシも配布している。
実証実験の運営事務局を担うハコダテミライカモン(函館市末広町)取締役の國分晋吾さんは「実験開始後最初の3日間で注文金額の合計が約110万円に達し、予想していたよりもはるかに反響が大きい。出勤時に炊飯を予約しておけばおかずを温めるだけですぐに夕食が食べられるので、時間の余裕が生まれているとの声も届いている」と手応えを見せる。利用者へのアンケートでは、おかずセットを購入した店に今後行ってみたいと答える人の割合が多く、飲食店にとっては新規顧客の開拓につながる可能性もある。
社員の福利厚生としておかずセットの購入を決めた企業もある。総合建設業の松本組(吉川町)は、3,000円のおかずセット約60人分を会社の負担で注文し、本社に勤務する社員全員に配ることを決めた。大越雄司社長は「社員もコロナの影響で外食の機会が少なくなっていたのではと考え、飲食店の支援にもなればと購入を決めた。業界全体のイメージアップにもつながればありがたい」と、その意図を話す。
今回は実証実験として配達料を無料としているが、事業化する場合は有料になる見込み。國分さんは「ニーズはあると感じる。後は、どうやってうまく運営させていくかが課題」と先を見据える。