自家焙煎(ばいせん)のコーヒー豆やビールなどの販売を行う十字屋が2月25日、昭和初期の広告を再現したしおりの販売を始めた。
同社は、函館で最も早くから自家焙煎コーヒー豆を販売したとされる老舗。3代目店主が登記した1932(昭和7)年を創業年としているが、実際の開業は大正か明治にまでさかのぼるという。創業時から店を構える函館十字街(末広町)のほか、2016(平成28)年からは函館朝市「えきに市場」内にもコーヒースタンド「十字屋珈琲(コーヒー)店」を構える。
しおりの表面には、湯気が立ち上るコーヒーカップのイラストに「コーヒーハ 十字屋」の文字を添えた1935(昭和10)年の広告デザインをそのまま使用。上部に配した「こ」の文字は、商店街各店をいろはカルタになぞらえた別の広告から引用したという。この広告で同社は「コーヒーの十字屋食料品店」と紹介され、他の店もそれぞれ業種を一言で表す言葉を添えて紹介されている。
「最近は書店でしおりをもらえることが少なく、自分の店のショップカードをしおり代わりに挟んでいたが、せっかくならしおりそのものを作ってみようと思った」と5代目店主の菅原雅仁さん。「店名が十字屋なので、10円で買えるものを作ってみたかった」と話す通り、末広町の本店と十字屋珈琲店で1枚10円で販売する。
営業時間は、本店=10時~18時(日曜は16時まで)、十字屋珈琲店=7時~12時ころ。共に水曜定休。