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函館のライブハウス「あうん堂」、存続懸けてクラウドファンディングに挑戦

クラウドファンディングの返礼品を示す「あうん堂」運営責任者の笹井さん

クラウドファンディングの返礼品を示す「あうん堂」運営責任者の笹井さん

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 新型コロナウイルス感染症の影響で存続の危機に直面している函館のライブハウス「あうん堂ホール」(函館市松風町)が8月20日に始めたクラウドファンディング(CF)が、開始4日目で目標金額の300万円を突破した。

高校時代のGLAYをはじめ、たくさんのミュージシャンがライブを行った「あうん堂」

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 あうん堂ホールは1983(昭和58)年開業の老舗ライブハウスで、高校時代のGLAYがライブを行った場所としても知られる。地元ミュージシャンによるライブを中心に、結成したばかりの高校生バンドからプロのアーティストまで、幅広く利用されてきた。

 現在はイベントの音響・照明などを手掛けるステージ・カンパニーが運営しているが、コロナ禍の長期化により経営的に厳しい状況が続く。感染拡大が始まった昨年2月以降、約1年半の間に実施できたライブはわずか数本のみ。イベント音響の依頼も同じく約1年半で数本にとどまり、配信ライブや地産品の販売、カフェ営業、イベント出店など、さまざまな取り組みを続けてきた。だが収益を補うにはほど遠く、「このままでは会社自体が立ち行かなくなる寸前」だという。

 そこで今回、「たくさんの人の思い出や歴史の詰まったこの場所を、このままの姿で将来に残したい」とクラウドファンディングへの挑戦を決断。音楽ライブが通常通り行えるようになるまでにはまだ期間を要するとの判断から、ライブ配信や動画番組の配信環境を増強しようと、配信用機材や自社専用サーバーの導入費用などの一部として目標金額300万円の支援をCFサイト「CAMPFIRE」で募ることに。配信機材を有効活用できるよう、出張配信ができる可搬型機材の導入を目指す。ホール自体を配信スタジオとして活用してもらえるような環境も整備する。

 サーバー導入後は同店のウェブサイトを一新し、チケットの予約から決済までをオンライン化する。配信ライブへの投げ銭機能やメッセージ機能なども整備。同店のオリジナル商品やアーティストのグッズ、その他地産品などを販売するオンラインショップ機能も持たせる。

 同店で提供している「珈琲(コーヒー)チーズケーキ」や、ライブの打ち上げなどに提供している手作りカレーなどの商材化にも取り組み、現在販売しているオリジナルブレンドコーヒーと合わせてオンライン販売するほか、イベント出店時などに販売する考え。

 CFは「函館あうん堂ホール継続支援『おうちdeあうん堂』プロジェクト」の名称で公開中。寄付額は1,000円~6万6,000円で、金額に応じて同店のオリジナルグッズや貸し切りでのライブ配信ができる権利などをリターン(返礼品)として用意する。9月20日まで。

 CF開始直後から続々と支援が集まり、公開2日目の8月21日にはGLAYのTERUさんがツイッターで「あうん堂応援クラファンのリターンは『あうん堂ホール貸切&配信ライブパック(土日祝)』って事で、LIVE at HOME vol.7は、あうん堂に決定ですね」とツイートし支援が加速。公開4日目というハイペースでの目標金額達成となった。実際の設備投資にはさらに多額の費用が必要なことから、目標金額達成後も引き続き支援を受け付けている。

 同ホールの運営責任者である笹井完一さんは「このホールは自分や多くの人にとって『思い出の聖地』だが、現在進行形で若いミュージシャンたちが使っている場所でもある。次の世代にバトンタッチしていくためにも、ここを乗り切るためにできる限りのことをやっていきたい」と力を込める。「GLAYファンの皆さんはもちろん、地元のミュージシャンや昔出演したことがある人やよく通っていた人など、たくさんの方に声を掛けていただき、支援を頂いた。心から感謝している」とも。

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