学ぶ・知る

函館製「中空土偶6センチフィギュア」 三次元データで精密に再現

「国宝 中空土偶 6センチフィギュア」本体とパッケージ

「国宝 中空土偶 6センチフィギュア」本体とパッケージ

  • 79

  •  

 函館市内から出土した北海道唯一の国宝「中空土偶」を精密に再現したフィギュアが12月8日から、函館市縄文文化交流センター(函館市臼尻町)で販売されている。

「国宝 中空土偶 6センチフィギュア」を手にするナカ電子の中嶋俊一社長

[広告]

 フィギュアはアクリレート樹脂製で、本体の高さは6センチ。付属の台座に立てて飾ることができる。塗装して好みの色に仕上げることも可能だという。

 函館市内に営業拠点「函館開発センター」(桔梗町)を置くナカ電子(東京都東久留米市)が、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録に合わせて企画した。「外国人観光客にも喜ばれるメード・イン・ジャパンの土産品を作ろうと考え、良い素材を探していた」という社長の中嶋俊一さん。函館の縄文文化を語るうえで欠かせない中空土偶をテーマに選び、構想を練った。

 「かわいいキャラクターにしたほうが受けるのでは」との思いもあったというが、「まずは学術的に正しい製品を作ることで、国宝を身近に感じてもらいたい」と、中空土偶の3Dスキャンデータを元に精密なフィギュアを作ることを発案。国宝の実物を3Dスキャンすることはかなわなかったが、市教委文化財課の協力を得て、市が所有するレプリカを北海道立工業技術センター(桔梗町)で測定して三次元データを取得した。

 取得した三次元データはデータ量が大きすぎて、そのままでは利用できなかったことから、函館市内で各種模型の企画設計と製作を手掛ける「グレイスモデル」(杉並町)にデータの調整と光造形3Dプリンターによるフィギュアの製造を依頼した。「高さ41.5センチの中空土偶を6センチに縮小してフィギュアを作ると、表面の文様の凹凸がほとんど分からなくなってしまう。正確なプロポーションを保ちつつデータの容量を削減し、表面の凹凸をわずかに強調するという難しい作業をお願いした」と中嶋さん。パッケージデザインや包装もグレイスモデルが手掛けており、「最初から最後までメード・イン・函館の製品を作ることができた」と喜ぶ。

 「市経済部や市教委文化財課、道立工業技術センターや市縄文文化交流センターなど、多方面からの協力とアドバイスのおかげで完成にこぎ着けた」という。「フィギュアとして手元に置くことで、いつでもあらゆる角度から鑑賞できる。子どもたちにもどんどん手に取ってもらい、中空土偶や縄文文化に興味を持つきっかけになれば」と期待を込める。今後、鑑賞や学習用などにより適した高さ13センチ・20センチのフィギュアを作る構想もあるほか、実物と同じく内部を空洞にしたフィギュア制作にも取り組んでいきたい考え。

 価格は990円。今後、市内の土産物店などにも販路を拡大していく予定だという。 

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース