函館栄好堂丸井今井店(函館市本町=丸井今井函館店6階)で現在、老舗和菓子店「五勝手屋本舗」(江差町)が創業150周年を記念して制作した絵本「7394」の原画展を開催している。
絵本は、江差の瓶子(へいし)岩にまつわる伝説を中心にニシン漁の繁栄と衰退、姥神(うばがみ)大神宮の成り立ちなどを描いた物語。江差追分や郷土料理の「クジラ汁」、武者人形などを配した13台の曳山(ひきやま)が町内を練り歩く「姥神大神宮渡御祭」の様子なども盛り込み、「江差を切り取った画集のように仕上げた」という。題名の「7394」は、江差町の2020年7月時点での人口を表す。
作画は、絵本や挿し絵などを多く手掛けている京都在住のイラストレーター、中川学さんが担当した。慈舟山瑞泉寺(京都市)の住職でもある中川さんは8年前から、五勝手屋本舗の商品パッケージのイラストを手掛けている。同社の小笠原敏文社長は「北前船で上方とつながっていた江差は、昔から京都への憧れがある。ポップでありながら伝統を感じさせる作風の中川さんに、ぜひ当社の商品パッケージを描いてもらいたかった」と話す。「絵本を通して、これまでの文化と歴史があって今の江差につながっていること、みんなの努力で今の江差があることを伝えたい」とも。
原画展では、絵本の中から中川さんがセレクトした5枚を展示。中川さんがこれまでに手掛けた商品パッケージや、同社の看板商品「丸缶羊かん」の食べ方を紹介したイラストボードなども併せて設置した。絵本を実際に手に取って見ることもできる。
函館栄好堂丸井今井店の石井明子店長は「この地域から生まれた作品を応援する活動の一環として、絵本の販売に合わせて原画展の開催を決めた。原画はサイズ感もあり、引き付けられる魅力がある。目をこらして見入るお客さまも多く、購入したいとの声も度々頂いている」と反響の大きさを話す。絵本については、「江差の景色と歴史が描かれ、人の営みも分かる。さまざまな内容が詰まっており、大人も楽しめる」と高く評価。小笠原さんも「原画展や絵本を通して江差を感じ、魅力を知ってもらい、それをきっかけに『近くて遠い』江差に足を運ぶきっかけになれたら」と期待を込める。
絵本は1,650円。営業時間は10時~18時30分。原画展は5月9日まで。