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函館「五島軒」、自社製造したパンの店頭販売を百数十年ぶりに再開 

パンの製造販売復活をアピールする石塚製造部長(右)と五島軒社員

パンの製造販売復活をアピールする石塚製造部長(右)と五島軒社員

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 老舗レストラン「五島軒」(函館市末広町)は7月7日、自社製造したパンの店頭販売を百数十年ぶりに再開する。

もっちりした食感と甘みが特徴的な角食パン

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 「角食パン」(864円)と「函館カレーパン」(378円)の2種類。「洋食に合うパン」をコンセプトに開発した角食パンは、小麦粉に熱湯を加える「湯ごね製法」で作った生地に練乳を加え、甘みともちもちした食感を出した。カレーパンは、北海道の素材と6時間煮込んだブイヨンを使ったカレーをベースに粘度を高めるなど調整を重ね、「五島軒のカレーだと納得してもらえる味」を追求したという。いずれのパンも、弾力があってもっちりとした食感を生み出す道産小麦「ゆめちから」を使う。

 同店は1879(明治12)年、ロシア料理とパンの店として創業。店名は五島列島出身の初代料理長・五島英吉にちなんで名付けられたが、パンは創業者である若山惣太郎が自ら腕を振るった。当時、五島軒のパンは外国船から大量に注文が入るなど好評で、東京・横浜・神戸にも船便で送っていたという。

 同店は1886(明治19)年に西洋料理の店に転換し、これに伴い明治後期までにパンの販売事業から撤退。その後はレストラン用のパンのみ自社製造していたが、1980年代にはそれも終了した。このため、パンの自社製造は約40年ぶり、パンの店頭販売はおよそ120~130年ぶりとなる。コロナ禍でレストラン事業が影響を受ける中、創業の原点であるパンの製造販売で新たな展開を図る。

 製パンの復活に当たり、業態転換を支援する国の補助金を活用。蒸気を使ってふんわりとした食感に焼き上げるスチームオーブンや、パンをベルトコンベアで移動させながら焼くトンネルオーブンなどを導入し、試作を重ねて完成にこぎ着けた。商品開発を担当した製造部長の石塚啓介さんは「どんな商品開発よりもパン作りが一番苦労したが、その分自信を持って『五島軒の味』とお薦めできる商品に仕上がった」と胸を張る。販売部長の竹内啓二さんも「当社は洋菓子も作っているので、角食パンを使ったフルーツサンドなど、パンを活用した新たな展開も探っていきたい。レストランでも、フレンチトーストやパングラタンなどパンを使った新メニューを提供していけたら」と展望を描く。

 当面は、1日当たり角食パン100本、函館カレーパン200個の数量限定。五島軒本店、十字街プロミエルカモイ店(以上、末広町)、イオン湯川店(湯川町3)、イオン上磯店(北斗市七重浜)で取り扱う。パンの製造個数や種類は随時増やしていく予定で、物産展での販売や通信販売も検討しているという。

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