函館出身で俳優座に所属する女優、長浜奈津子さんとバイオリン奏者・喜多直毅さんによる朗読ユニット「おとがたり」による朗読公演「『墨東綺譚(ぼくとうきだん、墨はさんずいが付く)』永井荷風」が8月4日、函館市民会館(函館市湯川町1)小ホールで行われる。
声と楽器の音のみで、物語の持つさまざまな情景や心模様を鮮やかに描き出し、聴く人に伝えることを目的に活動してきた同ユニット。朗読と音楽とが融合した朗読劇の魅力について、長浜さんは「物語のファンタジーをより豊かに伝えられるのが最大の魅力。即興的に互いの間・抑揚・言葉に反応しながら進行する声と音楽のパフォーマンスは臨場感にあふれ、聴く人はまるで物語の中に居合わせるかのような印象を抱く。来場者はもとより、文学研究者からも高い評価を得ている」と話す。
前回(2020年)の函館公演では、函館ゆかりの歌人、石川啄木の短歌を元に朗読劇を上演。本番前に立待岬近くの啄木の墓へ行き、手を合わせたという。定期的に訪れて公演を行っている故郷・函館の思い出については、「湯川中学校合唱部と白百合高校演劇部に所属し、音楽と芝居に情熱を傾けた10代の日々は一生の宝物になった」と振り返る。
永井荷風の代表作を題材にした今回の「おとがたり」公演。「ラジオドラマを聞くように、気軽に楽しんでほしい」と話す。故郷である函館市民に向け、「函館は、芸術と文化、演劇を愛して発信する港町。私も女優として、函館の人として、皆さんのように美しい夜景の輝きの一つでありたい。この朗読会が皆さんの喜びとなるように心を尽くすので、ぜひお越しください」とメッセージを寄せる。
19時開演。入場料は2,000円。チケットの予約はメールと電話で受け付ける。