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函館の坂道で「グリーンスローモビリティー」実証実験 7人乗り電動カート使う

坂道を下るグリーンスローモビリティー

坂道を下るグリーンスローモビリティー

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 函館市内の公共交通について協議する函館市地域公共交通協議会が8月6日~9月4日、「グリーンスローモビリティー」と呼ばれる電動車両で坂道の移動を支援する実証実験を行う。

座席が3列あり、運転手のほかに最大6人乗れる

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 グリーンスローモビリティー(通称「グリスロ」)は、時速20キロ未満で公道を走ることができる電動車両を活用した小規模な移動サービスのこと。今回の実証実験では、ヤマハ発動機から貸与を受けたゴルフカートタイプの電動車両1台を使い、函館山の麓に広がる函館西部地区で3コースを曜日替わりで運行する。

 函館市街地で最も古くから栄え、観光エリアとして人気の西部地区は、函館港を見下ろす景観の良さや落ち着いた雰囲気などから、市民からも根強い人気を集める。その反面、住民の高齢化が進んでおり、商業施設や病院など日常生活に欠かせない施設の多くが坂の下に集中していることから、坂道の移動に困難を覚える高齢者も少なくない。市が西部地区の住民を対象に行った2018(平成30)年度の調査では、「住み続けたいが難しい」とした人の多くが「坂道が多くて住みにくい」「高齢になった時の生活が不安」と答えたという。

 そこで今回は主に坂の移動支援を目的に、同地区にある路面電車の電停3カ所(函館どつく前、大町、末広町)を起点とした1周2~3キロの循環コース3つを設定。大町コースは月曜・水曜、どつく前コースは火曜・金曜、末広町コースは水曜・土曜・日曜に、それぞれ運行する。運行時間は9時30分~16時で、毎時0分と30分に電停近くを出発する。

 各電停近くの出発地以外に固定の停留所はなく、乗車したい人はグリスロが見えたら手を上げて合図する。スマートフォンからリアルタイムな走行位置を確認することもできる。降りる際は目的地付近で運転手に声を掛けて停車してもらう。運転手を除き6人まで乗車可能。主に、買い物や通院などを済ませて自宅近くの電停で降り、そこから自宅までグリスロで坂道を上る――という利用を想定しているという。実証運行のため運賃は不要。

 同協議会の事務局を務める函館市企画部交通政策課の担当者は「地域住民の皆さんから期待の声を多く頂いている。実証実験で需要を把握するとともにグリスロの賛否について住民と対話をしながら、今後の公共交通のあり方を考えていきたい」と話す。

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