サウナで体を温めた後、灯台のバルコニーに上って海を眺めながら涼む日本初のイベント「灯台サウナ」が1月14日、函館市の恵山岬灯台(恵山岬町)で開催された。
函館市内の企業・自治体関係者らでつくる恵山岬灯台活用協議会が、同灯台を核とした函館東部エリアの活性化に向けて試験的に実施した同イベント。同会が取り組む「海と灯台プロジェクト 新たな灯台利活用モデル事業」の一環で、サウナ愛好家ら約10人がモニターとして参加した。
イベントではまず、サウナ発祥の地フィンランド政府観光局が認めた公式フィンランドサウナアンバサダーで、現代サウナブームの第一人者として知られる草なぎ洋平さん(なぎは弓へんに前+刀)や同会スタッフが、江戸時代にまでさかのぼる北海道とサウナとの関わりや灯台の役割などについて参加者に紹介した。
続いて参加者は、灯台の下に設置した約90度のテントサウナでしっかり体を温め、水風呂で体を冷やしてから灯台上部のバルコニーで外気浴を楽しんだ。気温は3度で、海から冷たい風も吹きつける中だったが、参加者は海の絶景を見下ろしながら笑顔で「ととのう」を体験。入浴後は「サ飯」として、フィンランドの名物料理「サーモンクリームスープ」や灯台ツブの串焼きなどを試食した。
サウナ・スパ健康アドバイザーとして、サウナや温浴施設の情報発信をしている森田瑞希さんは「灯台に上るのは初めてだったので、良い経験ができた。斬新なアイデアで、もし本格的に実施されれば、これを目的に函館を訪れてくれる人が増えると思う。星が見える夜や、夏に開催するのも良いのでは」と話した。
自らも参加者としてイベントを楽しんだ草なぎさんは「すてきな場所で『ととのう』体験ができて最高だった。日本では初めての試みだが、世界では灯台を改装してホテルにするなど、灯台を観光資源として利活用している例がある。いずれは日本でもそんなことが実現できたら」とコメント。灯台に隣接する「ホテル恵風」の温泉やサウナも素晴らしいと述べ、うまく組み合わせることで、より参加者の満足度が上げられるとアドバイスした。
同協議会の矢田項一会長は「参加者の満足度も高く、手応えを感じた。函館東部エリアを盛り上げるため、来年度はこれを上回るコンテンツを提供できるよう構想を練っていきたい」と話し、一般客向けの有料イベントや「ホテル恵風」宿泊客向けオプションプログラムとしての実施を検討する考えを示した。