函館のライブハウス「あうん堂ホール」(函館市松風町)はこのほど、音楽ライブなどの生配信を行う個人やグループに期間限定でホールを無料で貸し出すと発表した。
生配信向けのホール無料貸し出しは3月いっぱいまで。音楽に限らず、演劇やマジックなどジャンルを問わず利用できる。休校が続いていることから、子ども向けのコンテンツも歓迎するという。配信用の機材もホールが無料で用意。ライブハウスと同じ感覚を視聴者に味わってもらうため据え付けのカメラ1台だけで生配信し、事前収録や編集は行わない。使用の申し込みは電話やメールで受け付ける。
「あうん堂ホール」は1983(昭和58)年開業の老舗ライブハウスで、高校時代のGLAYがライブを行った場所としても知られる。現在も地元ミュージシャンによるライブを中心に、プロのアーティストによるコンサートや道外の劇団による演劇公演など幅広く利用されているが、2月中旬以降はコロナウイルスの感染拡大に伴う出演や公演のキャンセルが相次いだ。
地元ミュージシャンからも「自分たちとしては演奏したいが、万が一のことを考えると『聴きに来て』と周囲に声を掛けにくい」との声が多く上がったことから、来場者が安心して音楽を楽しめない状況では営業が難しいと判断。2月末、主催ライブと貸しホール営業、ライブなどが無い日のバータイム営業を3月いっぱい休業することを決めた。
同ホールの運営責任者である笹井完一さんはこうした状況を、「インターネットによるライブの生配信に取り組む機会になるのでは」と前向きに捉える。本来なら会場に行きたかった人が画面を通して観覧できるだけでなく、これまで足を運んだことがない人も「次はライブハウスへ行ってみよう」と考えるきっかけになるかもしれないからだという。
さっそく、無観客ライブを生配信する計画を地元ミュージシャンらに伝えたところ、「それなら来場者に迷惑が掛からないのでぜひやりたい」「面白そうだからやってみたい」と賛同が得られたという。
3月1日には同ホール初の生配信として地元ミュージシャン主催のライブをウェブ上で公開し、この先もホール主催のマジックショーや音楽ライブの生配信を予定している。笹井さんは「ライブハウスにいるのと同じ感覚でお酒とおつまみを置いて座り、画面に向かって声援やヤジを飛ばすくらいの気持ちで楽しんで欲しい」と呼び掛ける。