北海道が石狩管内以外での休業要請を5月16日に一部解除したのを受け、函館市内では飲食店や商業施設などの間に通常の営業を再開する動きが広まりつつある。
木古内町「みそぎの郷きこない」はマスコットキャラクターで来館者にマスク着用を呼び掛ける
政府が新型コロナウイルス特別措置法に基づいて出した緊急事態宣言は14日に39県で解除されたが、北海道は特定警戒都道府県として15日以降も継続された。
一方で道は、感染者数と入院患者数がともに突出している石狩管内を除き、休業要請を16日から一部緩和することを決めた。これにより石狩以外では、映画館、パチンコ店、カラオケボックスなど、特別措置法に基づく施設への休業要請は継続するが、道が独自に休業への協力を求めていた床面積1000平方メートル以下の商業施設や図書館などは解除する。引き続き休業要請の対象となるバーやスナックなどを除き、酒類を提供する飲食店に求めていた19時以降の酒の提供の自粛要請も解除する。
これを受けて各SNSでは、酒類提供自粛に伴って休業やテークアウトのみの営業としていた飲食店や居酒屋などが続々と16日からの営業再開を「宣言」。函館の老舗レストラン「五島軒」(末広町)は、「少人数での対応」「1時間に一度の換気」「メニューの限定」「営業時間短縮」などの感染リスク軽減対策を取りつつ、「仮営業」として同日、本店の営業を再開した。
このほか多くの店が、営業再開の告知に当たってアルコール消毒の徹底や「3密」の防止などの感染拡大防止対策もアピールしており、少しでも消費者の不安を取り除こうとの苦労の跡が見える。
休業や時短営業していた商業施設も、営業正常化に向かいつつある。加盟店の大半が4月29日から休業していた函館朝市は16日、多くの店が営業を再開した。
大型連休期間中に全館休業に踏み切り、7日以降は営業時間を短縮して営業を続けていた複合ビル「シエスタハコダテ」(本町)は、市の施設がある4階を除く全フロアの営業時間を16日、通常に戻した。館内の消毒や従業員の健康管理の徹底、地下フロアを除く休憩スペースの閉鎖など、感染拡大防止に細心の注意を払いながらの通常営業再開となる。
統括責任者の岡本啓吾さんは「周囲の飲食店から経営が厳しいとの声を多く耳にしていた。賛否両論はあると思うが、先陣を切って『日常生活を取り戻そう』とのメッセージを発信していきたい」と話す。
ほぼ全面的に休業していた函館近郊の道の駅も、「なないろ・ななえ」(七飯町)、「みそぎの郷きこない」(木古内町)、「しかべ間歇泉公園」(鹿部町)など多くが16日に営業を再開した。
臨時休業がほぼ1カ月に及んだ「みそぎの郷きこない」内でレストランとベーカリーを運営する近藤舞子さんは「店を開けられる喜びを改めて感じ、初心に帰ったような思い。朝から『今日から営業しますか』との電話がたくさんあり、たくさんのお客さんが待っていてくれたことを実感する。どのお客さんもソーシャルディスタンスやマスク着用などのルールを守ってくださるので助かっている」と喜ぶ。同店は感染リスク低減の観点から、当面の間テークアウトのみで営業する。