大正時代に建てられた商家「わらじ荘(旧野口梅吉商店)」(函館市弁天町)に住む若者たちが企画・運営するイベント「わらじ荘一周年感謝祭」が10月4日、開催される。
わらじ荘は1913(大正2)年に米穀店として建てられた和洋折衷方式の商家建築。渡島総合振興局などが取り組む「木づかいプロジェクト」の課題で「理想の学生アパート」を構想した学生たちが、その実現の場として昨年10月ごろに共同で住み始めた。「学校ではできない学びの場にしたい」とする代表の下沢杏奈さんの思いに賛同する学生や若者が次第に集まり、地域と接点を持ちながら様々な活動を展開する拠点となっている。
これまで、大学生と高校生が共に勉強しながら地域と交流する合宿企画や、小学生を対象とした勉強体験会、荘民の誰かが独自のコンセプトで一日限定の喫茶店を開く「だれかな喫茶」など、ユニークな企画を次々に打ち出してきた。3月以降の自粛期間中には、外出できない子どもたちのために無料で本を届けるサービス「おうちが図書室」を発案し、大きな反響を集めた。
新型コロナの感染拡大が落ち着いた6月以降は月に1度のペースで屋外を活用したイベントも開いてきたが、立ち上げから1周年を迎えるに当たり、「これまで世話になった人たちみんなに感謝の気持ちを表そう」と普段より規模を拡大したイベントを計画。9月はイベント開催を取りやめ、丸1カ月間をイベントの構想と準備に費やしてきた。
当日は、わらじ荘と2軒目の拠点としてこの夏スタートした「みなも荘」に住む「荘民」たちが1人ずつ屋台を出店し、自分が好きなモノ・コトや出身地の料理などをアピールするほか、荘民による音楽ライブやパフォーマンスのステージなどを行う。外部から出演するミュージシャンによる演奏と、けん玉世界大会上位入賞の実力者によるパフォーマンスも花を添える。15時からは実際に使われていた漁船の船体を荘民と来場者が一緒にペイントを行い、フィナーレを迎える。
イベントの企画を担当する山出紗也加さんは「荘民を濃く知ってもらう機会としたい。何をしている人なのか、どんな人なのかを地域の皆さんに知っていただき、『面白いな』と思ってもらえたら」と期待を込める。