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函館のホテルで遺愛女子高卒業制作展 白い紙で色彩豊かな切り絵作品

選択授業で美術を選んだ3年生33人の切り絵作品が並ぶ

選択授業で美術を選んだ3年生33人の切り絵作品が並ぶ

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 遺愛女子高校(函館市杉並町)で美術を選択している3年生が卒業制作として作った切り絵作品を展示する「KIRIE展」が現在、函館国際ホテル(大手町)で開催されている。

飼っている金魚をテーマにした作品『からくり金魚』

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 作品は15センチ四方で、一般的に切り絵に使う黒い紙ではなく白い紙を使った。切り抜いた部分の背景にはさまざまな色を使い、思い出の景色や好きな食べ物、好きな動物など、思い思いの題材を描いた。

 昨年度から美術の非常勤講師を務める画家の月村朝子さんは「当校は伝統を大事にしながら新たな形での発信に取り組む校風があると感じている。切り絵は伝統的な工芸だと捉えられているが、色彩感覚に優れた彼女たちの新しい感性を、そこに合わせてほしいと思った」と切り絵を卒業制作に選んだ理由を話す。

 白い紙は、同校の校舎のイメージや、「生徒たちの真新しい未来を祝福するにふさわしい色」として選んだ。白い紙は輪郭を表現するだけでなく余白として用いることができるなど、黒い紙を使う時よりも切り抜く部分と残す部分の組み合わせが難しいという。題材には特にテーマを定めず、「制作期間の3カ月間、楽しく向き合える題材」を生徒それぞれが選んだ。

 飼っている金魚を題材にした「からくり金魚」を制作したNancyさんは「水の中で、いつかはなくなってしまうはかないものを永遠の存在にしたいとの思いを作品タイトルに込めた。水槽でゆったり泳ぐ姿はすごくきれいで、自分の作品で上手に表してみようと頑張った。この作品の中で永遠に生きていてほしい」と作品に込めた思いを話す。

 他の生徒も「色の逆算がとても難しかったが、いざ切ってみると楽しくなり、切らなくていいところも切ってしまいそうだった」「思っていた以上にきれいでうれしい」「どのように工夫したら白い色を生かして作れるのか考えるのが難しかったが、水彩絵の具や色鉛筆、光沢のある色紙などを使って楽しく制作できた」と話す。

 作品作りを指導した月村さんは「私も想像していなかった、新しくて透明感のある作品ができ上がった。こうして作品が並ぶと、切り絵の切り口に生徒たちの過ごした時間が刻まれているようで、改めて彼女たちの声が思い出される。遺愛の生徒たちが取り組むさまざまな表現の一つとして、ぜひ鑑賞してほしい」と来場を呼びかける。

 開催時間は9時~20時。10月30日まで。

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