函館を拠点に活動する一般社団法人「ローカルレボリューション」が7月1日、地域の食材を活用したタコスと一品料理の店「LR タコス&ローカルディッシーズ」(函館市末広町)をオープンした。
おからと脱脂粉乳を使ったトルティーヤでエゾシカ肉を包んだタコス
これまで、低利用魚のマイワシを使った「ハコダテアンチョビ」や、栄養価は高いのに食用として活用されにくい脱脂粉乳と「おから」を組み合わせた菓子など、地域の未利用・低利用資源を活用した商品開発を手がけてきた同法人。「取れすぎて売れない」「値段が付かない」など、その時に課題となっている地域食材や旬の食材に臨機応変に対応できるよう、初めて実店舗を出店した。
店のコンセプトは「地域課題をトルティーヤで包む」。肉・魚・野菜をそれぞれ具材にした3種類のタコスを用意する。肉のタコスは、函館産エゾシカをオレンジとスパイスで煮込み、メキシコ料理風に仕上げた「カルニタス」を包む。魚のタコスは、アメリカのバハ・カリフォルニアで食べられているフィッシュタコスをイメージし、値段が付きにくい小型のサバに衣をつけて揚げた「フリット」を使う。野菜のタコスは、中近東発祥のひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」を青大豆とおからで作り、旬の野菜と共に包む。トルティーヤの生地は、おからと脱脂粉乳をメインに使い、つなぎとして小麦粉を加えた同店のオリジナル。
エゾシカ肉を供給する食肉処理施設「ソバージュド函館」(銭亀町)代表の佐藤彰彦さんは「増えすぎたエゾシカが畑の野菜を食い荒らしたり、交通事故を引き起こしたりしているが、ハンターの自家消費にも限度があった。函館のエゾシカをおいしく食べて、世の中に広めてもらえたら」と期待を込める。市場で取引されにくい魚を処理して納入する福田海産(宇賀浦町)の福田久美子社長も「買い手がなく、網にかかったのに捨てられている魚はたくさんある。その一部でもこうして皆さんに食べてもらえることがうれしい」と喜ぶ。
同法人副代表で、メニュー開発を担当する齊藤亘胤(のぶつぐ)さんは「小さい魚は脂がのっていないかもしれないが、フリットにすればそれを補っておいしく食べられる。大都市では難しい、四季折々の地元食材が手に入る函館・道南の優位性を生かしたい」と意欲を見せる。代表の岡本啓吾さんも「おいしく食べて、その食材の背景を感じてほしい。未利用食材の価値を発見してもらえたら」と呼びかける。
タコスは全品500円。そのほか、「ハコダテアンチョビポテト」(600円)、スルメイカのげそを使った「イカジャンバラヤ」(1,000円)などの一品料理、赤しそラベンダーレモネード(500円)などのドリンク、カップケーキ(600円)などを用意する。
営業時間は12時~17時(金曜・土曜は21時まで)。木曜定休。