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函館の菓子職人・吉田さんが「卓越した技能者」表彰 工芸菓子の技能を追求

北海道産業貢献賞の「卓越した技能者」表彰を受けた吉田さん

北海道産業貢献賞の「卓越した技能者」表彰を受けた吉田さん

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 北海道では珍しい工芸菓子の制作に携わる菓子職人で、菓子製造会社「吉田食品」(函館市西桔梗町)の社長を務める吉田貴之さんがこのほど、「卓越した技能者」として北海道産業貢献賞の表彰を受けた。

葉の葉脈だけでなく一枚ずつ異なる葉の色合いや枯れかけた部分、虫食いの跡までも精巧に表現する

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 工芸菓子は、菓子材料である砂糖・餅・餡(あん)を素材として使い、植物や鳥など四季折々の風景を表現する伝統技法。鳥の羽や花びらなど細かいパーツも全て菓子材料で作り、パーツ同士を蒸気で炙(あぶ)って接着し、大きな作品を組み立てる。固さや粘り気などが異なる何種類もの生地を作る必要があり、一つの生地を完成させるまでに2~3日かかることも。吉田さんは「作品のテーマ、空間を意識した構図、彩色技術はもちろん、下積みからの経験に裏打ちされた生地作りの技術が欠かせない」と話す。

 工芸菓子と出合ったのは18年ほど前。熊本市で開かれた「全国菓子大博覧会」を訪ね、ズラリと並ぶ大型工芸菓子を目にして衝撃を受けた。工芸菓子作りは関西や中部方面では盛んだが、道内には作る人がほとんどいなかったため、「初めて実際に見て華やかさや技術に圧倒され、驚くばかりだった」と振り返る。

 それから2年後、市内で開かれた「みなみ北海道菓子まつり」に合わせ、本を見ながら「見よう見まね」で初めて工芸菓子を作った。これを契機に独学で工芸菓子の技術習得に努め、2009(平成21)年以降は工芸菓子の技術を競う全国規模の大会で数々の賞を受賞。さらに全国和菓子協会認定の「優秀和菓子職」に北海道で初めて認定されるなど、吉田さんの和菓子の技能は全国レベルで高い評価を得てきた。

 現在は業界団体の役員として技術講習会や菓子研究会などを積極的に行うほか、厚生労働省認定の「ものづくりマイスター」として全道の小中学校と高校・専門学校などに和菓子の指導を行うなど、後進の指導にも力を入れる。こうした実績が認められ、現役の技能職で後進の指導に努力し、技能水準の向上に著しい功績を収めた人を表彰する「北海道産業貢献賞(卓越した技能者)」表彰を受けた。

 「自分が目にして美しいと思うものや、季節ごとの自然の風景を表現できる」と工芸菓子の魅力を語る吉田さん。これまでに手掛けた作品の一部は自社が運営する菓子店「和創菓 ひとひら」で展示しており、「これがお菓子でできているの?という驚きを感じてもらえたら」と話す。

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