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真イワシで作る「ハコダテアンチョビ」試作品第1弾完成 数量限定で販売へ

函館産の真イワシで試作したアンチョビ

函館産の真イワシで試作したアンチョビ

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 函館産の真イワシでアンチョビを作る「ハコダテ アンチョビプロジェクト」が4月18日、試作したアンチョビの試食会を開いた。

「ハコダテアンチョビを道南の新しい産業にしていきたい」と話す岡本さん

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 近年、函館近海では真イワシが多く水揚げされているが、処理に手間がかかることや食習慣として定着していないことなどから敬遠されがちで、ただ同然の価格で取り引きされている。市場に出荷しても買い手が付かないこともあり、網にかかっても水揚げせず海に戻す漁師もいるという。

 アンチョビプロジェクトは、これまで市場から厄介者扱いされてきた真イワシを新たな地域資源に転換させる取り組み。若手漁師や海産物卸問屋と協力しながら独自に真イワシの消費拡大に取り組んできた複合施設「シエスタハコダテ」(函館市本町)統括責任者の岡本啓吾さんを中心に、北斗市のレストラン「Pokke dish(ポッケディッシュ)」オーナーシェフで、積極的に地元の魚の活用に取り組む齊藤亘胤(のぶつぐ)さん、昔ながらの木だる仕込み製法を続ける老舗塩辛店「小田島水産食品」(弁天町)の小田島隆社長などの有志が集まった。

 今回の試食会では、齊藤さんが真イワシを塩漬けにして3カ月半ほど熟成させたアンチョビを約30人の参加者に提供。参加者からは「くせがなくて食べやすく、しっとりしていておいしい。もう少し発酵が進んだ状態でも食べてみたい」などの声が聞かれた。

 「本当は半年ほど熟成させてみたいが、今回はハコダテアンチョビの可能性を感じてもらうためにお披露目した」と齊藤さん。「海外の星付きレストランの多くは、脂がのったカタクチイワシで作ったアンチョビを使っている。塩辛作りの伝統技術がある函館で、カタクチイワシでなく脂ののった真イワシで作ることにより、世界水準を超えるアンチョビが作れる可能性がある」と期待を寄せる。真イワシの消費拡大に取り組んできた函館の漁師、熊木祥哲さんも「コツコツとやってきて、ようやくここまで来られた。今後も漁師の日常を発信し、みんなで道南・北海道を盛り上げていきたい」と感慨深げに話す。

 齊藤さんが仕込んだアンチョビは、シエスタハコダテ5周年企画の一環として4月24日11時より、同施設地下1階で、数量限定で販売する。10時30分より整理券を配布し、無くなり次第終了。

 6月ごろ、第2弾として小田島水産食品を含む市内と近郊の複数の水産会社が真イワシを使ったアンチョビの仕込みを始める予定。10月以降、各社のアンチョビを一斉に販売する機会を設ける予定だという。岡本さんは「仕込みや発酵・熟成などの情報をみんなで共有し、道南の新しい産業を作りたい。このプロジェクトが成功すれば、真イワシは一次産業の漁師、二次産業の水産加工会社、三次産業の小売りや飲食、全てに恩恵をもたらす地域資源になる」と展望を描く。

 これと並行して新しい郷土料理としての普及にも取り組み、アンチョビ作りのオンライン教室やアンチョビを活用した料理教室も開いていく考え。齊藤さんは「まずは市民が自家製のアンチョビを作ったり、それを使った料理を家庭で作ったりするような文化が定着したら楽しい。高級なイメージが強いかもしれないが、子どもでも食べやすい味。うまみが強い調味料として汎用性が高いので、ぜひ活用してもらえたら」と呼び掛ける。

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