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函館に「ハッコーバー」 地元キャンドル作家が「1次産業応援」テーマに開く

その日届いた魚を掲げる店主の和泉さん

その日届いた魚を掲げる店主の和泉さん

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 函館を拠点に活動するキャンドル作家、和泉詩織さんが腕を振るう飲食店「ハッコーバー」(函館市松風町)がオープンして1月7日で1カ月を迎えた。

函館駅前「大門地区」の菊水小路に店を構えるハッコーバー

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 網元の家で育ち、「せっかくおいしい魚を捕っても安い値段しかつかず、落胆する父の姿を見てきた」という和泉さん。仕事をしながら地域のさまざまな生産者と知り合うなかで、「地域にある食材の素晴らしさが、まだまだ地元の人に伝わっていない」と感じるようになり、「生産者の顔が見える食材にこだわった」という同店を開いた。

 コンセプトは「1次産業を応援する店」。魚は、地元の漁師や鮮魚店が「その日の選りすぐり」を持ち込むため、毎日メニューが変わる。せたな町「よしもりまきば」からは、自然栽培した米や大豆、サフォーク種の羊肉などを取り寄せる。山田農場チーズ工房(七飯町)が作るヤギのチーズも、ワインや日本酒によく合うと好評だという。和泉さんの祖母が手作りした「サツ子の漬物」も人気があるという。

 店内につり下げられている乾燥した魚は、森町産のスケソウダラを和泉さんが自らさばき、海水で洗って干した「ぼんだら(棒鱈)」。カチカチになるまで水分を飛ばしているので、道南産木材で作った「こん棒」でたたいて身をほぐしてから食べる。

 酒も、七飯町の蔵元「箱館醸蔵(はこだてじょうぞう)」が醸す「郷宝(ごっほう)」や、木古内町の米で醸した「みそぎの舞」、知内町「帰山農園」の特別栽培米を使った「ましろ」など、道南生まれのものをそろえた。食器も道南で活動する陶芸家の作品を使う。店内で使うみそとしょうゆは自家製で、よしもりまきばの大豆を使って和泉さんが仕込む。

 ハッコーバーの店名には、「発酵食品を使う」「人と人とが出会い、交流する箱(=函)」「新たなものが生まれて輝く(=発光)」の3つの意味を込めた。約10席の店内は開店から1カ月間、連日満席が続く。出張客がリピーターになったり、店で出会った人の間で新たな仕事が生まれたりしているという。

 地域の生産者による食材の解説を聞きながら料理を食べるイベントや、みそ作り教室などの取り組みも随時開く予定。和泉さんは「人口減少社会にあって、函館や道南の関係人口を増やしていきたい。楽しくておいしい魅力的な場を作り出し、新たなつながりを広げていくことで少しでも、そうしたことに貢献できたら」と先を見据える。

 営業時間は18時~22時。水曜定休。

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