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函館・和洋菓子店の「型紙」が話題に 贈り主の思いを職人の技術で

カステラに文字を刷り込むために使っていた型紙の一部

カステラに文字を刷り込むために使っていた型紙の一部

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 和洋菓子の製造販売を手掛ける「はこだて柳屋」(函館市万代町)に、カステラに文字を刷り込むために使っていた昔の型紙が大量に保管されていたのが見つかり、一文字ずつ手作業で作る職人の技にSNSで注目が集まっている。

カステラの上に載せた型紙の上からアイシングを刷り込み、文字を浮かび上がらせる

 型紙は、カステラの表面に感謝の言葉やお祝いのメッセージなどを刷り込んで贈答用にするために使うもので、客の注文に応じてさまざまな内容の型紙を長年作り続けてきた。水洗いして何度も使える「渋紙(しぶがみ)」に文字を下書きしてから切り抜くと、刷り込みしたい部分が素通しになった型紙ができる。焼き上げたカステラの表面に型紙を載せ、へらでアイシングを刷り込み、最後に型紙を外すと文字の部分だけがカステラの表面に浮かび上がる。同社で長年刷り込みを担当する菓子職人の泉秀正さんは「型紙の上から粉糖をそのまま振るだけでは、時間がたつと文字が消えてしまう。粉糖をアイシングにして固めることで、時間がたっても文字がくっきりと表面に残る」と説明する。

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 型紙は昔から一枚ずつ手作りしており、紙の強度を保つために線と線が重なる部分は一部を切り抜かずに残すなど、手間の掛かる技法が必要となる。近年では製菓業界でもこの技術を受け継ぐ人が減り、同社でも実際に作れるのはほぼ1人だけだという。

 今回見つかった型紙は、少なくとも過去数十年間に同社の職人がさまざまな注文に応じて作ったもので、その数は「少なくとも数千枚ある」という。「祝 敬老」「入学内祝」などのシンプルなものから、「おかあさんありがとう」「いつまでも元気でね」といったメッセージ、さらには当人同士でしか分からない内輪ネタと思われるものまで、書かれている内容は幅広い。

 この「発見」を伝えた同社のツイッター投稿は50回以上拡散され、「何枚かでも額に入れて展示してほしい」「注文した人たちの思いや願いを読むうちに胸がいっぱいになった」「お客さんとのきずなを感じる」などの声が寄せられた。担当者は「カステラへの文字入れサービスは今も続けている。およそ1週間前までの予約でオリジナルの型紙を作ることもできるので、気軽に相談してほしい」と話す。

 文字の刷り込みができるカステラは、小=1,400円、中=2,000円、大=2,500円。別途210円の型紙代(刷り込み料を含む)がかかる(いずれも税別)。文字数が多い場合や極端に複雑な文字は対応できない。