函館湯の川温泉の「ホテル万惣(ばんそう)」(函館市湯川町1)が7月5日、函館近海産の「低利用魚」を夕食の刺し身として提供する取り組みを始めた。
ビュッフェレストラン「蔵祭」の刺し身コーナー「万惣おさかなマルシェ」
低利用魚とは、食べられる魚であるのに、サイズが規格外だったり、消費者に認知されていないなどの理由から、網にかかっても海に戻されたり、市場にあまり出回らなかったりする魚介類の総称。同ホテルは今回、地元の海産物卸「福田海産」(宇賀浦町)と連携し、漁業の課題解決に取り組む函館の若手漁師らが水揚げした低利用魚を夕食のメニューに採用。館内のビュッフェレストラン「蔵祭(くらまつり)」の刺し身コーナーを一部リニューアルし、提供する刺し身6種のうち、日替わりで1~2種程度を地元産の低利用魚に切り替えた。提供する低利用魚はその日の漁模様や季節によって変わり、現在は、ソイ、ヒラメ、アブラコ(アイナメ)、マコガレイなどが並ぶことが多いという。
近藤啓之総支配人は「函館に来たからには地元の魚を食べたいというニーズは非常に高い。まだあまり知られていない『新しい函館の海の幸』を提供することで、持続可能な漁業の一端に貢献しながら、宿泊客の皆さんに函館の地魚を楽しんでいただける」とメリットを強調する。
今回の取り組みに協力する漁師の一人、熊木祥哲(よしのり)さんも「以前から、地元の加工会社、魚屋、漁師、ホテルなどが一丸となって、函館を盛り上げられたらと考えてきたが、いろいろな人の手助けで、少しずつだが実現しつつある。私たちが一生懸命捕った海産物を、ぜひとも味わって楽しんでもらえたら」と話す。