函館在住のグラフィックデザイナー・仙石智義さんが、函館の古い絵図や写真などを図柄に用いた「函館古地図・古写真複製カレンダー2022」を制作し、11月1日、販売を始める。
幕末から戦後まで約100年間の函館を古い絵図や写真で振り返る
函館市中央図書館や市立函館博物館などに所蔵されている歴史資料を複製した月めくりカレンダーで、幕末から戦後まで約100年間の函館の風景を時代順に並べる。2022年は、洋装の土方歳三を写した函館の写真師、田本研造の没後110年に当たるとともに、仙石さんの元上司で、2008(平成20)年から2016(同28)年にかけて「函館古地図・古写真複製カレンダー」を発行した故・星野裕さんの没後5年に当たることから、「先人たちが築き、残してくれた函館の歴史を広く伝えたい」と5年ぶりに復活させた。
同じ構図の絵図と古写真を並べたり、明治時代の錦絵と現在の写真を対比させたりするなどして、「見比べる楽しみ」が得られるように絵図や写真を選定。今年、大河ドラマや映画、漫画などに相次いで登場して注目を集めている五稜郭は、描かれた年代が異なる4種類の絵図を収録し、初期の設計図から大幅に簡略化されていった流れが分かるようにした。掲載した約30点の絵図と写真全てに解説を付け、由来や見どころが分かるような工夫も。デジタルアーカイブとしてネット上で公開している資料については、スマートフォンから高解像度画像にアクセスできるQRコードを載せた。
函館に関連する絵図や古写真をデジタル資料として公開しているサイトの一覧も掲載。「多くの施設が函館の歴史資料を所蔵し公開している。著作権も切れており、素材としてさまざまな使い方ができることを知ってもらえたら」と仙石さん。一人でも多くの人にカレンダーを手にしてほしいとの思いから、価格を1冊500円に設定した。「函館の歴史が好きな方はもちろん、これまで地元の歴史にあまり興味がなかった方も手に取ってほしい。1冊で100年分を扱っているので、12カ月のうち、どこかで気になるポイントがあるのでは」と話す。
A4判28ページ、フルカラー印刷。函館蔦屋書店(函館市石川町)、函館栄好堂丸井今井函館店(本町)、文教堂書店函館昭和店(昭和1)・湯川店(湯川町1)など市内14カ所の販売店で取り扱う。函館蔦屋書店では10月31日11時から、仙石さんが古地図や古写真を元に幕末から戦後までの歴史を解説する講演会を開催。講演会終了後にカレンダーの先行販売を行う。11月上旬には、「函館古地図・古写真複製カレンダー」公式サイトで通信販売の取り扱いも始める。