函館在住のグラフィックデザイナー・仙石智義さんが函館の古地図や古写真などを複製したポストカードを制作し、11月1日、販売を始める。

年代ごとに分けた5枚1組のセットを3種類発売する

　昨年、洋装の土方歳三を写した函館の写真師、田本研造の没後110年などの節目に合わせ、函館市中央図書館や市立函館博物館などに所蔵されている歴史資料を複製した「函館古地図・古写真複製カレンダー2022」を制作した仙石さん。紙面の関係でカレンダーに採用できなかった資料も少なくないことから、改めて古地図・古写真を選定し、カレンダー未収録の資料6枚を含む15枚を選んだ。

　15枚の資料を年代ごとに5枚ずつに分け、幕末セレクション、明治セレクション、大正・昭和セレクションの3セットに分けて販売する。幕末セレクションには、五稜郭の最終段階の設計図「五稜郭之図」や、港が外国船でにぎわう様子を描いた「箱館真景」などを含めた。明治セレクションには、土方歳三や榎本武揚らの奮戦を描いた錦絵「箱館大戦争之図」、田本研造が撮影した「函館全景」などを含めた。大正・昭和セレクションには、生涯で3000点以上の鳥瞰（ちょうかん）図を描いた吉田初三郎作の「函館市鳥瞰図」や、青函連絡船に貨車を積み込むための可動橋を撮影した写真などを選んだ。

　それぞれの図柄の詳しい解説は、「函館古地図・古写真複製ポストカード」公式サイトに掲載しており、ポストカードに記載の二次元バーコードを読み込むとアクセスできる。「漫画『ゴールデンカムイ』に描かれている景色と似た写真もある。興味のある図柄を入り口に、他の年代にも関心を持ってもらえたら」と仙石さん。「函館を築いてきた先人たちに思いをはせ、街の未来を考えるきっかけになれば」と期待を込める。

　価格は各5枚1組で500円。全15枚に1892（明治25）年撮影のパノラマ写真の複製ポストカードが付いた16枚セットも1,500円で販売する。仙石さんが理事長を務めるNPO法人「函館市青年サークル協議会」が販売元となり、函館蔦屋書店、函館栄好堂丸井今井函館店、五稜郭内の売店「いたくら柳野」など市内11カ所で扱う。函館蔦屋書店では11月3日13時から、発売を記念して仙石さんが講演を行う。